在日米軍再編 最終合意
先日、重要な発表がなされた。日米両政府が在日米軍再編の最終合意をしたのだ。ベルリンの壁が崩壊した時、多くの人が冷戦に代わる明るい世界の到来を楽観した。しかし、冷戦後の世界は民族間紛争とテロの時代となってしまった。
今回の在日米軍再編も、このような冷戦後の国際情勢変化を背景とした米軍トランスフォーメーションの一環として見なければ見誤っしてしまうだろう。米同時多発テロを契機として、アメリカは伝統的な二正面作戦を修正し、本土防衛とテロとの戦いを最重要目標にしている。
そうした中で、朝鮮半島から中東に至る「不安定の弧」への対処など米世界戦略上の位置づけのもと、日米の軍事的な連携が深められることになる。今回の最終合意を受けて日本政府は非常に多額な金を米政府に出す事となりそうだ。
今後、米軍と自衛隊が、より緊密に連携するようになるが、日本に司令部が置かれて、自衛隊が米軍と運命をともにし下請化する方向に向かう危惧もある。なんとはなしに「独立国」の意味を再考してしまう。
自分は、安全保障のことは素人で良く分からない。しかし、圧倒的な力を持った米軍と離れて独自に日本の安全が確保できるとは考えられない。どうも、軍事の世界もIT同様、グローバルスタンダード化が進んでいるようで、イージス艦などに搭載された情報処理のソフト部分はアメリカがスタンダードを握っていると、かつて何かで読んだ記憶がある。
実践の指揮や各種機器の扱いなど、全ての面でグローバルスタンダードに沿って進めていかなくてはどうにもならない状況にあるようだ。では、日本はどうすればいいのだろう。ずるずると、アメリカの世界戦略に引きずり込まれていき、金も出し運命共同体化していくのか?それとも、米と一線を画しての独自の安全保障が可能なのか?
素人の自分には良く分からないが、現実的には、対米協調を基軸とする以外選択枝はないと思う。一方で、このまま、ずるずると引き込まれるのも危険な感じがするのだが、、、
ところで、これまで歴史に関する様々な書物を読んだり、歴史を刻んだ場所-沖縄の自衛隊基地、二次大戦での沖縄の激戦地、横田基地、萩や鹿児島の維新ゆかりの地、戊辰戦争で榎本が立てこもった五稜郭、幕府造船所がおかれ帝国海軍発祥の地となった横須賀、広島、長崎の被爆地、戦艦大和がつくられた呉、そして隣国の韓国ソウルやオリンピックに向け建設ラッシュの続く北京、等々-を訪れてきた。
明治維新を成し遂げて、欧米の植民地化を逃れ、近代化を一心に進めた日本。はじめてアメリカと関係を持ってから、100年を経ずして対米戦争をし大敗した。明治の改革を成し遂げた人たちが、今の日本の状況を見たらどのような言葉を発するであろうか。
中国とは、2000年以上のつき合いがあり、中華思想の帝国から、仏教を始め文字や文化、制度など様々なものを学び導入した。日本人の対中観は永きに亘り、歴史と文明の国として尊敬してきたが、日清戦争前後から蔑中となり、今日、反中の雰囲気だ。
次の時代の超大国候補である中国とは、嫌でも付き合って行かざるを得ない隣人関係だ。お隣の韓国、北朝鮮も歴史を振り返ると、蜜月、疎遠、反発などの歴史を繰り返している。
北朝鮮問題も中国との付き合いも、アメリカとの関係も、これまでの長い歴史の流れの中で捉えると、今の局面が俯瞰して見えるような気がする。そして、そのことが今後の関係を築き、世界の中での日本の立場と安全保障を考える一番のヒントとなるのだと思う。
在日米軍再編の最終合意の報を受け、普段感じていることを、とりとめもなく、まとまりもなく書いた。これから、色々な場所に行き、本と出会い、人と話すなかでもう少し考えもまとまるといいのだが。
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