« 夜が続く | トップページ | 政治家の自死 »

2007年5月23日 (水)

遊就館

  一度行ってみたいと思っていた靖国神社「遊就館」に出かけた。

  境内を5月の心地よい風が渡っている。館は関東大震災後に建てられた石造りの重厚な建物。何回かのリフォームを経て内部は近代的で清潔だ。

  展示は明治維新後の日本の歴史を、その間の戦争にスポットをあて展示してあるほか、多数の戦没者の遺影が一面に飾られているコーナーなどがある。日本の近現代史の教科書を追っていくような感じである。 

  映像ホールも充実していて、「私たちは忘れない」という、日本がなぜ第二次大戦に突入したかを日本人の視点で描いたという映画が上映されている。チラシには「教科書では教えられない真実の歴史が、今よみがえる」というコメントが載っている。映像とナレーションからなる50分物。

  中身は、所謂「靖国史観」というものだ。白色人種に追い詰められ、自衛と自己存立の為にやむを得ずに日米戦争に突入したというもの。

  敗戦(日本)側に立った主張で共感するところはあるが、すべてを、そのまま素直に受け止めることも出来なかった。しかしながら、こういった考え、あるいは全く違った考えの双方がある、ということを知った上で自分なりの歴史観を持たなくてはならないのだと思う。

  上映終了時に、前の席の60歳代くらいのご婦人が、頻りに涙を拭いている姿が印象的だった。

  また、今日はパラオ特別展が開かれていた。入口にある写真集をみると、水中カメラマンがパラオの海に眠る英霊の骨を引き上げている。

  パラオには、かなり以前、ダイビングで数回訪れたことがある。戦前、日本の信託統治領であったことは承知しながらも、当時は、たいした意識もせずに、どこまでも透き通った海に潜っていた。その頃も新聞で遺骨が未だ多数眠っていることは知っていたが、こうした映像はショックである。

 パラオ展示室を出ると、グッズコーナー。そこには、馬やフクロウのかわいい縫いぐるみが。タグに「靖国」と書いてなければ???という土産物だが、のらくろの縫いぐるみはここ以外ではあまり見ないかもしれない。

 グッズコーナーには今風な高校生カップルが。縫いぐるみを触っていた女の子が「わぁ~、パラオだって。行きたいな。」と言いながら二人はパラオ展示の方へ入っていった。

 平日午後でも結構、賑わっている遊就館は高校生のデートコースともなっているようだ。

 さて、写真集を見て彼らはどんな感想を持ったのだろう。

|

« 夜が続く | トップページ | 政治家の自死 »