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2014年7月20日 (日)

福島第1原発を視察

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■去る7月18火(金)みんなの党 Action11(青年局)、東京政調合同で福島第1原発を視察する機会に恵まれました。
■これまで被災地へのボランティアや訪問はありましたが、事故を起こした原発そのものを訪問することはなかったため、非常に貴重な経験となりました。
■福島第1原発の視察は政党や国会議員でも簡単に訪れることができないなかで視察ができたことに感謝しています。
■今回は、和田政宗青年局長(参議院)を筆頭に山田太郎東京政務調査会会長(参議院)、渡辺美智太郎参議院議員、さらに、同僚の塩村夏文、音喜多駿両都議を始め各地の県市区議の総勢18名で参加しました。
■朝6時に家を出てスーパーひたちに乗り込み、JRいわき駅に到着。いわき市は人口35万弱の原発への玄関口の都市です。ここからバスに乗り、J-VILLAGEに到着。ここで、東電から福島第1原発の概要や現在の事故対策を聞きます。
■いわき駅で早くも手元の線量計の数値は東京より高い数値を示します。とは言え、この段階ではそれほどのものではありません。原発に近づくと、ところどころホット・スポットがあり、手元の線量計はアッパー数値でこれ以上測れない状況になりました。
■その後、2回バスを乗り換えて何段階ものセキュリティや放射線量チエック、そしてネズミ男のような白い紙の服、マスクにゴーグル、二重のゴム手袋、二重の靴下等々のウエアに着替えます。そして2時間ほど原発周辺と使用済み燃料棒の抜き出し作業が進む4号機内部を視察しました。
■視察後はJ-VILLAGEに戻り、質疑が行われ、結局、家に帰り着いたのは12時近くという、結構きついものでしたが、現地で現物を確認するという視察の本旨のとおり、非常に有意義で感じるところが多いものでした。
☆ 以下に、私の所見を述べさせていただきます。

① 現場の東電社員、関係各社と作業員は過酷な環境なのか、日々原発の処理に真摯に取り組んでいます。
■現在、福島第1原発には、事故処理の中枢的な役割を果たす「免震重要棟」に24H体制で約200人の東電社員が詰めているとのことです。ここでは、各種作業を行う各企業との連絡調整や原発のモニタリング、管理業務などがおこなわれています。
■この「重要免震棟」の廊下や会議室の壁には、所狭しと千羽鶴や寄せ書き、激励のハガキが飾られています。手紙は子ども達から、寄せ書きは、東電グループの各発電所や事業所のものが多かったように思いますが、ほぼ男達だけの隔離された過酷な職場で、事故と向き合う職員の方々の励みになっていることと思います。同時にその光景は、どこか戦場の最前線を思わせるものでもありました。
■その他、福島第1原発には毎日作業にあたる人が述べ7000人、暑い中線量を気にしながらの過酷な作業を続けています。
■原発事故において東電の責任は大きいと思いますし、世間から強く非難をされていますが、しかし、現場で奮闘する職員・関連企業の作業員は皆、最前線の厳しい環境下で黙々とがんばっていました。皆さまに、まずはそのことをお伝えしたいと思います。




② 原発事故の処理・安定化は果たしてしっかりできるのであろうか?(手探りの処理と立ちはだかる大きなハードル)
■今、現場は困難な状況のなか、現場の関係者はに奮闘している、という話をしました。この意味で、すべての現場の皆さんに心からの敬意を禁じ得ません。
■しかし、一方で原発の事故処理はしっかりなされていくのだろうか?という問には、未知数な事が多く非常に不安を感じました。見えない、見通しが立たないとことが多いのです。
■福島第1原発では、運転中に事故を起こした1~3号機は、水を流し込み冷却し燃料が加熱することを防ぐ作業を続けています。また、震災時に点検中で運転をしていなかった4号機については、燃料棒の取り出し作業が行われています。
■このなかで、1~3号機は「燃料デブリ」と言われる核燃料が溶解したものが沈殿していると見られています。このため、水を流し込み冷却を続けながら、どこかの時点でデブリを取り出し、廃炉にしなければなりません。
■しかし、まず、格納容器内がどのようになっているか現状が全然分かっていません。内部の状況を調べるにも、放射線量が高すぎてカメラがすぐに壊れてしまうそうです。
■その上で、内部状況が分かったとしても、デブリを安全に取り出す技術がまだ確立していないのです。廃炉には30~40年かかると言われますが、その間に、内部状況を確認できる状態となり、取り出し技術が開発されるだろうという希望が前提の30~40年なのです。
■一旦、起きてしまった過酷事故を将来に亘り安定的な安全な状況にするという人類史上、また我が国にとっても大変に重いく高いハードルが連続して待ち受けています。しかし、このハードルを越えていかない限り、不安定で危険な状況から脱することができないのです。



③ 原発事故の処理を担う人材の確保と原子力関係の研究レベルの維持・向上が不可欠。
■こうしたなかにあって、事故後、東電では30代以下の若い社員が大量に退職し、原発事故対応にあたる若い世代が少なくなってしまったことが課題との説明がありました。
■これから数十年スパンでこの問題に取り組み、その間、格納容器内の状況を確認し、デブリを取り出す技術を開発するためには、何としても原子力関係の分野の研究者を育てていかなければなりません。
■多分、今、大学や大学院で原子力の研究分野に進もうという学生は少ないのではないでしょうか。原子力がもはや、鉄腕アトムの夢の科学ではなく、場合によっては取り返しのつかない事故を引き起こすものと分かったのであり、この分野の仕事に就いても明るい展望が描きづらいからです。
■後ろ向きの廃炉や事故処理に関わる仕事に就こうというモチベーションが起こらず原子力関係に進む若手研究者が出て来にくい。ですから、そのことで原子力分野の技術や研究レベルが衰え、長期スパンの処理が進まないという悪循環を私は恐れます。
■このため、この分野の研究の研究者を確保し、研究レベル維持・向上させるような政策を国が取る必要を強く感じます。具体的には、良好な研究環境を整え、待遇等を含めモチベーションを上げる政策を打つ。
■原子力関係の仕事の待遇を良くする、一定期間の廃炉関係の仕事をした後に他分野への仕事へ転身できる担保をする等々。
■特に、将来に亘ってこうした取り組みをする人のモチベーションを高める卒業後の出口戦略のようなものが必要ではないかと思います。これは、帰りのバスでも感想として言わせていただきました。党の国会議員にはこうしたことに取り組んでいただきたいと思います。



④ 国を挙げて長期スパンの視野で取り組むべき最優先課題
■冷却水を注ぎ続け、放射能に汚染された水が出る。それらは特殊な濾過装置で濾過され、一部を除き放射性物質が除去されますが、その水はタンクに貯蔵され莫大な量で増え続けています。さらにそのタンクから漏洩が続いています。
■また、地下水が原発の下に流れ込み、汚染水が大量に海に流出する。これを防ぐために「凍土壁」という技法で原発を囲み地下水をブロックする対策を取ろうとしています。さらに、井戸を掘って地下水の流れを変えるような試みもなされています。
■次から次へと起こる状況に、後手後手で対応していかなければなりません。また、そこで説明された対策も、現実にどこまで効果があるかは分かりません。そもそも「凍土壁」の技術が十分確立されていないという声すらあるのです。
■しかし、こうした過酷な状況下でも、現場は何とかしようとがんばり、作業をする方々も放射線量を見ながら、白い紙スーツを着て汗だくで働いています。
■とても「アンダーコントロール」の状況には無いなかで、対症療法的に、目に見えないものと格闘しているのが福島第1原発の今の姿です。
■周辺の避難をしている住民もいつ、ふる里へ帰ることができるのか、皆目見当がつきません。
■1兆円という廃炉に向けた費用すら定かではなく、何もかもが不確定ななか、暗中模索で良かれと思うことを最大限努力しているということでしょう。
■東電には重大な責任があります。しかし、東電だけを責め立てていても、どうにもならないようにも感じます。本当に良い方向へ事態が動くよう、国が責任を持って長期スパンで取り組む(人材育成と人材確保ができる環境も含め)必要のある課題、それがこの問題です。



⑤ やはり、エネルギー政策の転換は必要
■今回の視察を通じて、やはり、一旦重大な事故が起こると取り返しがつかず、リカバー、封殺の方法すら分からない原発の恐怖を感じました。
■重大過酷事故発生による長期に亘るあまりにも大きなコスト(様々な面での)を考えると、やはり、我が国のエネルギー政策は転換すべきと思います。
■経済効率だけで安易に原発に頼るという発想を改め、原発に頼らないという発想からエネルギー政策を考えていくことは、今、この日本に暮らす我々の将来世代への重い課題であると考えます。
■日本人は「のど元過ぎると熱さ忘れる」国民です。是非、現場の状況を皆さんにも知っていただき、明日の日本を真剣に考えていきたいと思います。

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