プレミアム商品券は誰からの贈り物?
先日、我が家に書留で商品券2000円分が送られてきました(写真)。
母のところには同様に1000円分の商品券が送られてきました(写真)。
わっ! ちょっとびっくりしたのは、封を開くと、選挙で選ばれる政治家の名前の入ったクリスマスカード風メッセージカード(若者バージョン)とともに金券が出てきたからですね(笑)。
あなたのために商品券贈ります、子育てがんばってね、ふっ。という感じです。
さて、これは、国の交付金を活用した自治体のプレミアム商品券の一種。全国の1700以上の自治体が5月以降、一斉にプレミアム商品券の発行を行なっています。
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自治体97%がプレミアム商品券 地方創生交付金の配分決定 (日本経済新聞 3/24)
政府は24日、緊急経済対策の目玉として2014年度補正予算に盛り込んだ総額4200億円の地方創生の新たな交付金の配分を決めた。全国の自治体の97%にあたる1739自治体が、額面よりお得なプレミアム付き商品券を5月以降順次発行する。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS24H4A_U5A320C1EE8000/
このプレミアム商品券の仕組みは、例えば1万円で1万2000分の商品券が購入できる、そして差額の2000円分は、国の交付金で出してくれるといったものです。これによって消費喚起と地域経済の活性化を狙うとしています。安倍政権の地方創生の目玉の1つですね。
今年1月に政府が地方創生の一環として「地域住民生活等緊急支援のための交付金」を創設。地域消費喚起・生活支援型として2,500億円を平成26年度補正で予算化しました。
これを都道府県と市町村に交付し、自治体が地域の消費喚起につながるような事業を企画して実施すれば、ほぼ全額を国のお金で賄えるとしたのです=自治体の持ち出し実質なし(東京都では、都が区市町村にさらに交付金をプラスしています)。
そして、国が例示した事業がプレミアム商品券や旅行券の発行ということもあり、ほぼ全ての市町村がプレミアム商品券を発行しているという訳です。
交付金は、自治体の人口や財政力に応じて交付され、基本10/10の割合(事務経費には充てられない)で使えるので、自治体にはオイシイもので、逆に言えば、事業を行なわなければ交付金が入ってこないので、ほとんどの自治体が競うようにプレミアム商品券事業を展開します。
ただ、このプレミアム商品券については、バラマキではないか、単なる需要の先食い、一時的なカンフル剤に過ぎないなどの批判もなされています。
私もどちらかというとそうした考えです。
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プレミアム商品券 地方消費の呼び水か、ばらまきか (6/9 日本経済新聞)
「富裕層が多く住み、自治体の財政に余裕がある地域や、全国での知名度が高く販売対象を住民以外にも広げられる地域などが商品券を活用するのはわかります。大きな波及効果を期待できるからです」。第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生さん(47)は国の交付金には反対だという。「国主導で全国一律に発行すると一時的に消費は増えますが、翌年には一斉に反動減が起きます。国の税収は増えず、バラマキ政策になる恐れがあります」
国際基督教大学客員教授の八代尚宏さん(68)にも評価を聞いた。「国による地方商店街の保護政策とみています。非効率な産業を保護すると、経済学でいう資源配分のゆがみが生じかねません」とばっさり。消費を喚起するには「潜在需要を掘り起こすことが大切です。例えば介護市場の規制緩和を進め、介護サービスへの報酬を増やせば消費の底上げになります。消費喚起にはバラマキ政策ではなく産業の新陳代謝を促す成長戦略こそ有効なのです」。
http://www.nikkei.com/article/DGXKZO83010010Z00C15A2TJP001/
さて、八王子市では、5000円で6000円分の商品券が購入できる(プレミアム率20%)を1世帯に1セットのみを購入できる仕組みとしています。
一方で、自己負担+プレミアムという形ではなく、対象を限定して「タダであげる」タイプ、
(これを国は生活支援型と呼んでいます)も実施できます。
八王子市は、① 5000円負担で6000円分の商品券をゲットと ② 18歳以下の子供のいる家庭に2000円商品券をプレゼント、③ 75歳以上のお年寄りに1000円商品券をプレゼントという3本立てとしています。
そして、このタダであげるタイプを実施する自治体は少数派ということです。
それが、冒頭の写真の郵送されてきたものですね。
八王子市では18歳以下の子育て世帯 約9万2000、75歳以上の高齢者 約6万2000に郵送をしたようです(郵送費だけで数千万円、こちらは市の経費)。
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八王子市 「プレミアム付商品券」の販売を開始 (6/2 八王子市長定例記者会見)
子育て・教育応援券」「高齢者支援券」とあわせ発行総額は10億円
本市は、地域の消費喚起を高めるため、国の地域住民生活等緊急支援のための交付金を活用し、「プレミアム付商品券」(1セット1,000円券6枚綴り)の販売を6月15日から開始する。
あわせて市民の生活支援を目的に「子育て・教育応援券」(1人につき2,000円)と「高齢者支援券」(1人につき1,000円)を発行する。なお、高齢者を対象とした「高齢者支援券」の発行は、多摩26市では、本市独自の取り組みである。
都内では、これから今年度中に10の自治体で首長選挙が予定されています(立川市、日の出町=8月、青梅市=11月、小金井市=12月、八王子市=来年1月 etc.)。全国的には首長選挙は非常に数が増えるでしょう。
そうした状況の中で、選挙を控えた首長名でメッセージと共に金券が送り付けられることが全国に広がることは、よろしくないことでしょう。
通常は、自らの首長選挙を半年後程度に控えていれば、市民に金券を贈るにしても、カードには○○市と自治体名にとどめるのが、当該自治体の良識と思うのですが、皆さんはいかがお考えでしょうか?
皆さんのもとに届く プレミアム券、そんな視点からも眺めてみてください。。。では。
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コメント
この時間帯、販売場所となると購入できる人は限られますね。これではサラリーマンの方は買えないでしょう。利用者目線での対応が望まれます。
投稿: もろずみみのる | 2015年6月22日 (月) 12時19分
プレミアム付商品券は誰からの?に疑問はありますが、
さらに、誰に買ってもらいたいのでしょうか?
主な販売が平日月~金・9時~15時、
郵便局本・西・南局で~19時。
土曜日は郵便局本局のみで9時~15時。
日曜日は28日のみ恩方、柚木東市民センターで10時~16時となっており、平日勤めに出ている人には買えません。
また土日に駅から遠い本局、まして恩方、柚木にまで行っていられません。
売る側の都合?来た人には売ってあげるって考えですか?販売方法に大いに問題有りとおもいます。
投稿: 子安 | 2015年6月21日 (日) 23時51分