定例会終了。小池知事は順調な滑り出し
かがやけTokyoを代表して、第152号議案「平成28年度東京都一般会計補正予算(第2号)」外すべての知事提出議案並びに議員提出議案第9号「東京都知事等の給料等に関する条例の一部を改正する条例」に賛成の立場から討論を行ないます。
今回の定例会は知事選後初の定例会であり、小池知事の都政に取組む基本姿勢が示されました。組織や団体の支援によることなく、一人ひとりの有権者の気持ちを積み重ね291万票余という圧倒的な都民の支持を得た小池知事には、都民目線での都政大改革を強力に推し進めていただけますよう期待しますとともに、私たち、かがやけTokyoは知事の改革姿勢を支持し、議会の立場から、ともに都政改革を推し進めていくことを表明いたします。
それでは、上程されています議案について申し上げます。まず、第152号議案です。
今回の補正予算では待機児童解消に向けた緊急対策として総額126億円が計上されました。
都内待機児童数は、本年4月時点で8,466人と昨年から652人増加しており、保育サービスの供給が需要に追い付いていません。
その結果、働くお母さんの「保活」は熾烈を極め、泣く泣く育児休暇を切り上げたり、あちこちの保育園に足を運び情報収集に努めるなど大変な思いをされているようです。それでも、保育園に入園できないと、最悪、仕事を辞めざるを得ないこととなります。
今回の緊急対策は、こうした事態に対処すべく、喫緊の課題である保育需要に対応し年度内に17,000人分の保育サービスを整備するものであり、「すぐ効く、良く効く」を合言葉に時限を切った11事業が示されました。
緊急対策には、整備費の補助額と実勢額の差を埋める「高騰加算」や賃貸物件を活用した保育所整備への賃借料補助創設。新たな保育の担い手である子育て支援員や保育コンシェルジュの増員などが盛り込まれました。これらは、保育サービス確保の隘路となっている事柄に対し適切な対応が採られたものであり、時機を得たものと評価いたします。
一方で、私たちは、多様な保育ニーズに対応していく、その大前提は保育の質がしっかりと確保されることであると考えています。そうした意味で、対策に盛り込まれた認可外保育施設への巡回指導の強化については、都に与えられた権限を適切に行使し、区市町村とも連携を取って「保育の質」の確保・向上につなげていくよう改めて要望いたします。
また、認可外保育利用者は認可保育利用者に比して、高額の保育料を支払っており、こうした利用者負担を軽減する区市町村への支援策が盛り込まれたことは、高く評価いたしますが、利用者の負担軽減へ直接結びつくよう、制度の運用と取組みを切に望むものです。
保育の問題は、育児休業が取りやすい社会を実現し、男女を問わず働き方を見直していくなど、今の日本社会が問われている大きなテーマとも関連するものです。都は、こうした観点を踏まえた総合的な施策を展開し、真に豊かな社会に向けて「ライフ・ワーク・バランス」の実現に努めていただきたいと思います。
続いて、第154号議案について申し上げます。
本条例は、平成28年11月から翌7月までの知事給与を50%減額し、特に11月から1月までは給与を100%減額することで、1年間の知事給与総額を半減するものです。
知事給与減額は、都政改革に向けた知事の「隗より始めよ」の姿勢を示した決意表明であるとともに、都知事選挙の公約でもあり、知事の改革姿勢を理解し、本条例案に賛成するものです。
議員提出議案第9号につて申し上げます。
本条例は、舛添前知事の高額海外出張費問題を契機としての条例改正であり、知事等の旅費規程の透明性を向上させるものです。二度と舛添問題のようなことを起こさない取組みの一環であり、速やかに可決すべきでものと考え賛成するものです。
さて、都政は今、大きな危機に瀕しています。何の危機か?それは、都民の都政への不信が頂点に達しているという危機です。
信が無ければ、政治をおこなうことも、行政を前に進めることもできません。しかしながら、二代にわたる知事の不祥事による途中失職で都政への信頼が大きくい傷ついている中、豊洲問題では、都庁そのものが、正に組織の体をなしていない無責任体制であることが白日の下に露呈されたのです。
小池知事が「豊洲市場への移転を一旦立ち止まる」決定をした時、賛否の声が挙がりました。しかし、すべての水質モニタリング調査結果が出る前の移転であったなら、ヒ素やベンゼンの検出結果も闇に葬られ、ましてや、これまで公式の場で繰り返されてきた「盛り土」、をしていなかったことも全く分からず、不問に付されたまま新市場がオープンしていたことでしょう。結果として、知事の判断は正しかったことが証明されました。
豊洲問題で特に衝撃的で問題の根が深いのは、説明が虚偽で固められていたという点です。当時の知事も他人事のように「都庁は伏魔殿だ」という姿に、多くの都民、国民は唖然とし、歴代市場長を初め、決定ラインにあった人々が口をそろえて「全く知らなかった」というのを聞いて呆れかえっています。更に内部調査報告書についても事実と違う、責任逃れの表記がなされていることが明らかになりました。
かつて、オランダのジャーナリストで政治学者でもあるカレル・ヴァン・ウォルフレンは、日本の権力行使のあり方を分析し、日本の国家権力を握っているのは誰か?という問いを発しました。そして「日本の権力は自立的かつ半ば相互依存的な多数の組織に分散されていて、主権者に責任を明確化することも無ければ、どの組織も最終責任を引き受けたり、緊急の国家的問題を決定したりする力は無い」と結論づけ、責任中枢の欠如を指摘しました。
今回の豊洲市場の問題をみると、正に「誰も責任を取らない、責任中枢の欠如」という言葉が都政にも当てはまるのではないでしょうか。
このままウヤムヤに事なかれ主義で物事を終わりにすることは許されません。東京都のガバナンスを再構築するためにも、今こそ、徹底的に膿を出し切る時です。そのためにも、さらなる調査をおこない、「盛り土無し」の工法に転換した責任者、決裁者、虚偽の答弁を繰り返した当事者等、外形的な責任状況を捉えて処分を実施すべきです。このこと無しに、都民の信頼回復の第一歩を踏み出すことはできないのです。
同時に、チエック機関としての議会も問われています。議会としてこの問題を集中して審議すべき場を設けることを他会派と共同で提案いたします。強制力を有する百条委員会の設置について否定するものではありませんが、まずは、特別委員会で徹底的な議論を行なうべきと考えます。
私たちは、豊洲の問題については、科学的見地からの現状確認と対策を講じ、安全性が検証されない限り、移転すべきではないと考えます。また、過去の経緯を検証することと同時に未来へ向けた安全性確保が重要であることを指摘しておきます。
さて、2020年まで4年を切りました。開催都市として何としても成功させなくてはならない大会ですが、時は刻々と過ぎていきます。
小池知事は、オリンピック・パラリンピックにも大きな一石を投じました。私たちも、かねがね知事と同じ問題意識を共有してきましたが、大会経費が不明確です。どこまでが大会経費なのか定義をはっきりさせて、総経費を都民の前に示すべきです。
大会総経費が見えないなかでは、都、国、組織委員会の役割分担や費用負担のあり方を論じようにも論じられません。
また、都政改革本部の報告で「あたかも社長と財務部長がいない会社と同じ」と指摘された五輪の推進体制についても再考していく必要があります。東京都が97%以上の
出えんをする組織であるにもかかわらず、あまりにも都の関与と情報開示が少な過ぎます。都として意見を具申し、五輪組織体制の再構築につなげていくべきです。
施設整備については、都民のレガシーとなるかどうか、次世代に過大な負担を残さないかといった視点からの検証は必要であり、今が、見なおしの最後のチャンスでもあります。
都政改革本部から提案のあった会場見直しは、知事が最終判断をされるものと思いますが、復興五輪のコンセプトが薄れている現状を考えれば、東日本大震災の被災地の皆さんと喜びを共有できる五輪となることができれば、より、すばらしいことと思います。
小池知事の進める都政改革について申し上げます。知事は公約に掲げた、都民ファーストの視点に立った透明な都政の実現に取組む姿勢を鮮明にし、当選以来2ヵ月半、休む間もなく走り続けています。
しかし、課題は他にもあります。我々がこれまで取組んできた入札・契約改革や監理団体、報告団体についても、もう一度フラットな視点で見直すことを提案いたします。
議会についても申し上げます、私たちは、議会も、知事の行政改革に負けないよう切磋琢磨し改革を行なうべきと考えています。費用弁償や議員報酬の在り方などについても真摯に議論を尽くし見直しを進めるとともに、議会がその権能をしっかりと発揮してこそ、車の両輪として都政が前に進むのです。
最後に、都政への都民の信頼が地に落ちてしまった今だからこそ、徹底的に都政の膿を出し切り、改革を前に進めるべきであり、そのために、かがやけTokyoは精一杯力を尽くしていくことをお誓い申し上げ、討論といたします。
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