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2019年9月

2019年9月20日 (金)

新公文書館と都の公文書管理について問う!(都議会質疑から)

令和元年の都議会第3回定例会が終了しました。 

今回の定例会では、元yahoo会長、宮坂学氏の副知事任命案件が議会同意され、4人目の副知事に就任したほか、議長に石川良一氏(都民ファーストの会)、副議長に橘正剛氏(公明党)が選出されました。 

議案では、自転車利用者等に保険加入を義務付ける「東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例の一部を改正する条例」の他、来年4月に新規開館する東京都新公文書館の設置に関連して「東京都公文書館条例」、「東京都公文書の管理に関する条例の一部を改正する条例」、「東京都情報公開条例の一部を改正する条例」等の知事提出議案が全て可決・成立いたしました。

私は、所属の総務委員会で「東京都公文書館条例」と「東京都公文書の管理に関する条例の一部を改正する条例」について質問し、都の文書管理と情報公開について質しました。

他に、事務処理特例制度について質問しました。

 以下、質疑の要旨です。

 ① 東京都公文書館条例

・仮移転中の公文書館に代わり、令和2年4月、新たに公文書館を開設。

・都が早くから(S43年)公文書館を設置し、今般、充実した公文書館を公文書法に基づく公の施設として条例設置することは評価されるべきことである。

・因みに、都道府県で公文書館を整備しているのは33自治体のみ(H29年総務省調査)。

・新公文書館はJR西国分寺駅徒歩8分の都有地に整備。

・新公文書館は都立多摩図書館、都立武蔵国分寺公園に隣接するとともに、街区には総務省研究所、消防署が立地し、さらに国分寺市役所の移転が予定されているゾーン。

・施設は、都立多摩図書館とツインビルのような規模・形態で、非常に立派なもの。たぶん、全国の公文書館(国立含め)で一番素晴らしい。

・都は、レファレンス機能の強化、古文書等のデジタルアーカイブ化とインターネットでの情報提供、常設・企画展の展開などを通じ、利用者層の拡大を図るとしている。

・さらに、隣接の都立多摩図書館との連携を打ち出している。

 以上を踏まえ以下に質問(抜粋)

Q 館の運営体制。なぜ直営か?館長の人選と専門職の活用方針は?

A 都組織を熟知していること、利用請求にあたり行政処分を行う必要から直営とした。館長は行政系課長級職員から配置。研修の強化と専門性を有した非常勤の活用に努める。

→ 単なるジョブローテーションで職員を充てるのではなく、意欲と能力ある職員を選任すべきであり、外部専門人材活用も検討すべきと提案しました。また、専門人材を積極的に配置し、将来は日本の中心的な公文書館として他自治体の人事育成に資する役割を果たすようになって欲しいと期待を表明しました。

Q 多摩図書館との連携や利用者層の拡大といった新公文書館のコンセプトから、開館日、開館時間を設定すべきでは?(隣接の都立多摩図書館は月~金の10時~21時、土日祝の10時~17時30が開館時間。休館日はランダムな平日の月2回程度と図書整理のための5日程度の連続した休み、さらに年末年始であり、基本的には通年開館)

A 開館時間は月~土の9時~17時を予定。企画展については週末の開館時間の延長及び一部日曜日の開館を検討(この部分は、質問の事前のやり取りで出てきたところ)

 → 図書館と公文書館は利用形態や利用者層が異なるとはいえ、「利用者の層拡大を目指す」云わば「開かれた公文書館」というコンセプトに照らせば、また、多摩図書館との連携という視点からも、この開館日・時間には全く納得がいきません。そこで、開館時間等の再検討を強く迫りました(笑われちゃいますよ。こんなのでは)。

その後、規則中に開館時間について「ただし、知事は、特に必要があると認めるときは、これを変更しすることができる」と、今後の変更の余地が入れられました。不十分とはいえ、当初の案より若干の改善が図ることができました。

 東京都公文書館の管理に関する条例の一部を改正する条例

・都では一昨年、「東京都公文書の管理に関する条例」を初めて制定。

・今回一部改正は、新公文書館設置に伴うもの。

・改正条例では、公文書の閲覧に係る「利用請求」、審査請求などを司る第三者機関「東京都公文書管理委員会」の新設などが盛り込まれた。

・公文書は民主主義のインフラであり、公文書の適正な管理と情報公開は表裏の関係にある。

・現在、都の文書保存年限は東京都文書管理規則で6種類(保存年限1年未満から長期=永年=公文書館保存)を規定。

・文書が廃棄され不存在となれば、情報を知るすべはなくなる。その意味で文書保存年限の決定と適切な運用は重要。

・現行の体制では、公文書管理は総務局が、情報公開制度は生活文化局が所管している。

  以上を踏まえ以下を質問(抜粋)

Q 局ごとに定められている「文書保存年限期間表」を総務局が全庁的な視点から見直す作業をすべきでは?

A 各局共通事項に関して、公文書保存期間は総務局が具体的な保存期間を明示。局ごとに差異は生じない仕組み。今後、保存期間の設定状況について計画的に確認する。

→ 各局共通事項以外の文書をどう扱うかに付、現状、局任せである点が問題であることを再度指摘。文書担当局としての統一的視点での取組みを要望しました。

Q 公文書管理の権威でもある国立公文書館館長 加藤丈夫氏は我が国が取り組むべき公文書の課題として、①研修の充実、②専門家=アーキュビストの育成を挙げている。都において、担当セクションに外部専門家の登用を図るべきでは?また、研修の強化にどう取組むのか?

A 今後、公文書館職員による新たな研修を実施して行く(外部人材登用については答弁無し)

Q 透明性と信頼性をより高めた文書管理と情報公開を進めて行くには、所管組織を一体化し、総合的に政策推進を図るべきではないか?

A 文書管理システムと情報公開システムを連動させて円滑な情報公開に努めている

→ 今回の議案である「東京都情報公開条例の一部改正」については文教委員会に付託され審議された。本来であれば、公文書館条例、公文書管理条例の一部改正とともに一括して同一委員会で議論されるべきです。そのことにより、表裏の関係にある文書管理と情報公開を総合的に審議できるのです。こうした点も含め、都の文書管理部門と情報管理部門の同一局(総務局がふさわしいと思う)での所管は大きな検討課題であると考えています。

③ 事務処理特例制度

・事務処理特例制度に関連して、都内唯一の中核市である八王子の都補助の活用について問いました。

・中核市である八王子市は、都が政策課題解決のために実施をする都独自の補助を活用できないなど、制度上の制約があります。

・例えば、都が待機児童を解消するために、国基準以上の補助制度をつくったり(上乗せ)、国の基準にない新たな補助をおこなったり(横出し)しています。

・小池都政になり、都内待機児童が5,000人減少したのは、こうした政策の総動員の賜です。

・しかし、八王子市はそうした都の新規補助メニューを中核市として事務移譲を受けた分野については活用できず(例えば、都が独自に打ち出した保育士さんの家賃補助等)、全てを市の財源で対応せざるを得ません。

・これは、中核市制度を選択した八王子の意思決定によることであり、今更、その部分の補助をくれとは言い出せない建付けではあります。

・市もそのことについては基本的に承知をしているようですが、都の補助メニューが八王子市に知らされることなく突然発表されることもあり、その場合、対応が大変で混乱が生じる可能性もあるとのことでした。

・そこで、以下を質問しました。

Q 基本的に市の単独費対応せざるを得ない八王子市にとって、新規(都)補助創設の事前段階での情報提供や都との意見交換があれば、その後の対応がとりやすいが、都の見解は?

A 原則、中核市指定に伴う法定移譲事務に関連する都単独補助は、市が自らの責任と判断で行うもの。八王子市への情報提供は昨年度から実施しているが、今後とも、適切な機会をとらえて情報提供を行っていく。

→ 各分野で全国基準以上の行政展開を実施する東京都にあって、中核市としてその恩恵に与れないのは正直、なかなか厳しいところです。その意味で、都内にあっての中核市移行は「実を捨てて、名をとった」という事であったかもしれません。しかしながら、全都一体で進める大きな政策課題の解決に当たっては、他自治体同様の都財源の活用も柔軟に考えてほしいところです。そのためには、今後、市長局は都も納得できるようなしっかりとした理論構築をすること。そして、粘り強く、都と交渉すること必要ではないでしょうか。

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