土屋彰久『自民党が負けない50の理由』(自由国民社)
視察のお供にと、図書館で本を物色。
ほんとうは、6月議会の一般質問のネタ探しを兼ねて開架をプラプラしていたのだが、これは、という本がなく、足は何とはなく政治の書架へ。そして、お気楽そうなタイトルの3冊を借りて見た。『自民党が負けない50の理由』と元日本共産党政策委員長 筆坂秀世氏と右翼団体 一水会顧問 鈴木邦男氏との対談『私たち、日本共産党の見方です』、選挙コンサルタント井上和子氏の『裏 選挙物語』。
この中で、一番面白かった土屋氏の書を採り上げる。
『自民党が負けない50の理由』。4年ほど前に書かれたこの本。タイトルからして、お気楽、受けねらいの感があるが、軽妙にシャレを交えて短文50のパートで自民党政治を論じている。
この手の政治本は、例えば宝島別冊とか、うようよ出ているのだが、結構面白くて一気に読んでしまった。中身は、著者流の独断とデフォルメで物事を単純化しているのだが、そのことで話が分かりやすくもなっている。
著者が論じているのは自民党であるが、実は日本の政治、もっと言えば、日本の社会や文明である。
それぞれのパートについて、これはちょっと違うんでないの、という点も当然あるが(特に選挙の実態については十分に分かっていないかも)自分は結構合点がいった。農耕民族として引き継いでいるDNAが、国民性の在り方に投影しているということや、自分が政治の場で感じている様々な事象、例えば敵を作って団結を固めるであるとか、そのための小学校のイジメ(笑)のようなこととか、政権維持に向けた求心力と融通無碍さなど、を、その背景を含め理論化している。
小選挙区を現代の藩に見立てて、衆議院議員、都道府県議、市長村議、後援者などの役割と立場を示した所などは、ほとんど自分の見方と同じ、かつ、小選挙区制の構造を良くあぶり出していると思う(このパートは結構笑えます)。また、加藤紘一の「加藤の乱」を分析したコラムはちょっとうならせるものがある。
そう、この本はおちゃらけ政治本のような体裁をまといながらも、実は、柱をそのままに書き直せば学術論文となる、そんな政治学の書でもある。
著者の見方には賛否は在ろうが、日本の文明・社会を見るときの視座とは成りうる。
まあ、でも、どこで治める者と巻かれる?者の線が決まるのだろう。血縁を含め上層部では階層の固定化が進んでいるんだろうけど、財界も官僚も政治家も、結局はある程度誰でも成るチャンスがある、そんな階層流動性のある日本社会を体現している政党・体制、それが自民党だ。
著者が指摘するように、自民党的政治の限界もまた明らかになってきている今、人々がぬるま湯から飛び出て、新たな選択ができるのか? それを受け止める体制をつくることができるのか?日本の政治が大きな岐路に立っていることは間違いない。
講評 ☆ 4つ
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