小池東京都知事が誕生してから1週間。
この間の記者会見で矢継ぎ早に今後の取組みを打ち出しています。
「東京大改革」については、知事をトップとする改革推進本部を立ち上げ、その下に2つのチーム(① 情報公開チーム、② オリンピック・パラリンピック検証チーム)を設置する。
改革推進本部には外部からの人材を登用し、②については9月に中間報告を行うこと。
開会したリオ大会については、8/18~24の日程で閉会式にのみ出席し、随行員は4名(舛添前知事のロンドン随行は19名)。ホテルはスィートは使用せず、飛行機はファーストは使用せずビジネスクラスを使用。
子育て支援については、9月議会に補正予算を提出し、取組みのスピードをアップさせる。
2020までの4年間の政策実行プランを年内に策定する。
来年度予算編成方針を示し、すべての事業に終期を設け、不要な事業は中止するとともに政策評価を徹底させることを表明。
これから、来月28に始まり、10月13日に最終日を迎える都議会定例会が小池都政の船出の第一の大きな山場となります。そして、小池知事が圧倒的な組織化されていない、しがらみなき都民の支持を得た改革を実施していくには2つの関門があり、それに対峙していかなくてはなりません。
1つは都議会。特に60人/127人を占める最大会派都議会自民党です。初登庁での大人げない対応を見たとおり、難物ですが、政策は予算案、条例案という議案という形をとり、これらが都議会に承認されなければ、政策は一歩も前に進みません。
まっうとうな議案を出しているのに、「アンダーグラウンドの調整がない」、「聞いていない」などの難癖をつけてすべてを葬り去るようなことは難しいとは思いますが、この部分は都民の視線が非常に重要な役割を果たすと思います。
そして、もう1つ知事が向き合わなくてはならないのが、都庁官僚たちです。彼らは独特のプライドを有し、これまで最大会派自民党(実際はその一部トップ)との裏政策決定システムを構築し、持ちつもたれつ都政を動かしてきました。
このような都庁官僚、都庁官僚OBと自民党を中心とする与党体制をひっくるめて私は「都庁一家システム」と呼んでいます。
知事は都庁官僚を掌握し、信頼を得て、彼らを使いこなさなくてはなりません。しかし、彼らは、現在、知事の力量や自民党との力関係を慎重に品定めしている最中だと思います。
面従腹背もよくあることで、そのようなことがないよう人事権を活用し、信頼のおける人材を確保し、都庁官僚に「この知事のもとなら」と思われるようになり、上手く都庁官僚を使いこなしていかなければなりません。
ところで、初登庁について。
既に報道やネットで明らかにされていますが、都庁正面玄関前の出迎えは、前回舛添氏当選の時には議長、副議長、各会派幹事長が並び、その次に副知事等の幹部役人が並んでいました。
ところが、今回小池知事の出迎えへは、私たち かがやけTokyoの3人のみで、議長・副議長はおろか、どこの会派もいませんでした。
長くなりますが、経緯を振り返っておきます。
当初、まだ知事選の当選者が決まる前には、「8月2日 9時30分に知事出迎えのセレモニーがあるので会派幹事長に来てほしい」と行政サイドから連絡がありました。
しかし、その後、小池知事の当選が決まり、私が会派の幹事長として日程確認をすると、とたんに歯切れが悪くなり、最初は「まだ詳細が決まっていないので調整中です」との返事でした。
その後、「明日はどうすればいいんでしょうか?」と聞くと、「今回は行政主体で出迎えをすることになったので、敢えて出迎えは結構です」となりました。
そこで、たぶん、小池氏が知事選に当選したので、増田氏を支援した自民党・公明党が出迎え拒否を行政側に伝え、さらに鳥越氏を支援した共産党、民進党等も同調したのだろうと
思い、私は「私たちは会派の3人でお出迎えします」と伝えたわけです。
そして、当日。
まず最初に、行政職員にどこに並ぶべきかを聞くと、なんと、建物内のオリンピックの旗が3本並んでいる裏に並ぶように言われました。我々は、これまでの出迎え映像から、通常は正面玄関の外、そして議会が一番最初と認識していましたので、それを断り正面玄関の一番前に並んだのです。
すると、しばらくすると政策企画局のラインの課長が表れ、「行政主体の出迎えなので、ここは副知事が並ぶので、その後ろに並ぶように」
告げられました。しかし、これまでの知事の出迎え画像を見ていた私は「今までの出迎えでも副知事の後ろに議員は並んでいない」旨を伝えました。
と、今度は局長が現れ、「副知事が先で、その次に並ぶように」と強く迫ってくるではありませんんか。
理由は「行政主体の行事であり、我々職員が執務する庁舎に上司である知事を迎える場なので、(議員は職員の後ろか副知事の次に並んでほしい)」というものでした。
大分カチンときた私は「東京都では過去何回も知事初登庁の出迎えは、議長・副議長をはじめとする議員が先で、その後が行政職員であったのに、なぜ今回のみ行政職員、議員の順としなければならないのか?」、「そもそも庁舎はシティ・ホールであり、全都民のもので、あなたたち職員のものではない」と返答し、頑としてポジションを譲りませんでした。
すると、今度は筆頭副知事+局長+次長+課長という布陣で、皆が目を三角にして詰め寄ってきて「行政主体でおこなうのは知事も承知している」「知事も承知している行政主体の出迎えを、(あなたちは、強引にここに並んでいる)ということは、共通に認識しているということでいいですね」と脅してきました。
そうこうするうちに 知事を乗せた車が到着。(お互いそっぽを向いていますが、、笑)。
車を降りた知事は、まず、緑のワンポイントを身にまとい集まった出迎えの都民に手を振り、その後、正面玄関に向かいました。
そして出迎えの私たちに気付くと、私たちに歩み寄り、笑顔で握手をしてくれた、というのが事の顛末です。
たかが出迎えセレモニー、されど出迎えセレモニー。このセレモニーの顛末に「政治」が凝縮されていたのです。
では、なぜに、それほどまでに、都庁官僚(特に幹部)は、我々を表に出さないように必死であったのか。
この謎を解くカギは、これまで営々と築かれてきた都庁システム、すなわち「都庁一家システム」にあると思います。
これは、都庁官僚、外郭団体に再就職するOB都庁官僚、そして政策の最終決定権を持つ議会のうち実質の議会コントロール者である都議会自民党(実質はそのトップ)の持ちつ持たれつのシステムであり、そのための裏 政策決定ルートが脈々とつづいているシステムなのです。
これまで、いわゆる自民党を中心とした政党が支援した知事が勝利し、知事を押さえていたわけです。そして知事与党自民党と都庁官僚機構がお互いに仕事がしやすい、双方にメリットのあるシステムとして「ボス支配」ができ、システム化され、生き続けてきたのです。
システムの象徴である自民党与党知事。初登庁での出迎えは大切な儀式です。
しかし、反対派の異端知事であれば、そのようなセレモニーはしない。そして、少数でも異端知事と連携する議員が迎えるような画が世間に流れることはあってはならない。
そのために「阿吽の呼吸で」都議会自民党の意を汲んで、「行政主体のセレモニー」という理屈を苦し紛れにひねり出したのが、今回の知事初登庁セレモニー劇ではなかったのかと思います。
圧倒的な民意を得た小池知事ですが、「都庁一家システム」に取り込まれることなく、適度な緊張感で議会と対応し、面従腹背、様子見の都庁官僚を掌握しないことには、都民と約束した改革や政策を前に進めることはできません。
「都政の見える化」をすすめるとともに、是非とも、都民の皆さんには、引き続き都政に関心を持っていただき、小池都政を注視していってもらいたいと思います。
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